兵庫県泌尿器科医会事務局

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こんな症状があったら

If you have these symptoms

泌尿器科の症状と疾患

男性の症状

尿の異常
尿が赤くなった(血尿)

血尿とは、尿の通り道のどこからか出血を来たしている状態であり、目でみて分かるものから、見た目では分かりませんが検診などの尿検査で判明するものまであります。血尿の原因には、尿路感染症、尿路結石、尿路生殖器の悪性腫瘍および腎臓の内科的な病気など様々なものがあります。
血尿のなかで最も注意が必要なものは他の症状が全くない血尿であり、膀胱癌、腎癌、前立腺癌、尿管癌、腎盂癌などがあります。そのため、症状がないからとほうっておかず、はやめに専門医に受診することをおすすめします。
症状がある疾患としては、お腹や背中の左右どちらか一方に強い痛みを伴っている場合は尿路結石症が考えられ、また排尿時の痛みを伴っている場合は膀胱炎等が考えられます。

尿が濁っている

尿このにごりの原因は主に、(1)尿に含まれる塩類が結晶化している場合、(2)尿路に細菌感染をきたしている場合、(3)血尿がある場合、に分けられます。

(1)の場合は食べ物や飲み物、または体調によって白く濁る状態であり、多くは心配ないものです。
(2)の場合は細菌の尿路侵入に伴い尿の中に白血球が出現して尿が白色に濁る状態であり、発熱がある場合は、男性では腎盂腎炎、急性細菌性前立腺炎および精巣上体炎などが考えられます。また発熱がなく、排尿時痛、残尿感等の症状が有る場合は、膀胱炎、慢性前立腺炎、尿道炎などが考えられます。
(3)の場合は、血尿の項目を参照してください。
ただし、女性の場合はおりものが尿に混じることで尿の色自体は透明であるにも関わらず浮遊物が混じることでにごって見えることがあります。

排尿に時間がかかる

排尿に時間がかかる病態としては、尿道での尿の通過障害がある場合や、膀胱がうまく収縮できない場合が考えられます。尿道の通過障害は前立腺肥大症や尿道狭窄などが原因と考えられ、一方、膀胱がうまく収縮できない場合は糖尿病等に合併する神経因性膀胱などが原因と考えられます。

残尿感がある

残尿感とは排尿後も尿が残っているような感覚がある状態であり、排尿を行った後も実際に尿が膀胱にまだ残っている場合(残尿)と、実際には残尿はなく膀胱等の炎症、膀胱近くの尿路結石に伴って残尿感を認める場合があります。実際に残尿がある場合は前立腺肥大症や神経因性膀胱などが考えられ、残尿がなく炎症に伴う場合は、膀胱炎や前立腺炎等が考えられます。

尿の回数が多い

1日におしっこにいく回数が8回以上ある場合は頻尿(尿の回数が多い)とされています。この原因としては、(1)おしっこした後にも膀胱の中に尿がたくさん残っている場合、(2)膀胱が過活動な状態、(3)1日の尿量が多い場合、(4)心因性、(5)尿路生殖器の炎症などが考えられます。

(1)の疾患としては、前立腺肥大症や神経因性膀胱などがあります。
(2)過活動な膀胱とは、膀胱に尿が十分にたまっていないのに自分の意思とは関係なく勝手に膀胱が収縮するという状態(過活動膀胱)であり、明らかな原因がないこともあれば、前立腺肥大症や脳神経疾患に伴って生じる場合もあります。また加齢による老化現象の1つとしても生じてきます。
(3)水分の大量摂取取や利尿剤の服用、あるいは糖尿病などの内分泌疾患によって、1日の尿量が増加している場合です。この場合、1回に充分な量を排尿しているにも関わらず、何回もおしっこに行くことになります。
(4)心因性の頻尿は、膀胱や尿道の病気もなくまた1日の尿量も正常であるにもかかわらず、トイレのことが気になって何回もおしっこに行ってしまう状態です。精神的なものによる影響ですので、通常は夜間に頻繁におしっこに行くことありません。
(5)膀胱炎や前立腺炎などの尿路生殖器の炎症に伴って生じます。

尿が出ない

尿がまったく出ないという場合は、(1)膀胱にたまった尿を排尿しようと思っても出ない場合と、(2)腎臓の機能低下のために尿が造られなくなった場合、(3)腎臓に流れ込む血液が低下した場合が考えられます。

(1)前立腺肥大症や神経因性膀胱などの疾患が考えられます。特に長時間の座位や飲酒、市販のかぜ薬、アレルギー薬の服用、気管支の吸入薬などが誘因になることがあります。
(2)腎不全と呼ばれる状態です。慢性腎炎による腎臓の機能低下や糖尿病などの他の病気が原因で起こってくる腎臓の機能低下では徐々に尿の量が減ってくる場合がほとんどです(慢性腎不全)。腎臓そのものに急激な障害が起こった場合(急性尿細管壊死など)も急激に尿の量が減ります(急性腎性腎不全)。また、何らかの原因により両側の腎盂や尿管が詰まってしまった場合にも急激に尿の量が減ります(急性腎後性腎不全)。
(3)脱水(熱中症や極度の下痢で起こってくる場合があります)やショックなどにより腎臓に流れ込む血液が低下した場合には急激に尿の量が減ります(急性腎前性腎不全)。

急いでトイレに行かないと間に合わない

自分の意志に関わらず膀胱が勝手に収縮してしまう状態であり、尿失禁をきたしてしまうこともあります(尿の回数が多い②参照)。過活動膀胱と呼ばれる状態です。
明らかな原因がないこともあれば、前立腺肥大症や脳神経疾患に伴って生じる場合もあります。また加齢による老化現象の1つとしても生じてきます。

排尿時に痛む

男性の場合、排尿時の痛みは、尿道に炎症を来たすような尿道炎(おもに性行為感染症)、前立腺炎、また、尿道が狭い場合(尿道狭窄)などでみられます。

痛み•発熱などの症状
背中や脇腹が刺すように痛い

尿管結石等に伴う尿路の通過障害を来たした場合に認められ、通常は片側のみに痛みがあり、しばしば血尿を伴います。

高い熱が出た

泌尿器科領域で発熱を来たす疾患として、男性の場合、腎盂腎炎、急性細菌性前立腺炎および精巣上体炎があります。

男性更年期障害
男性更年期障害とは?

精巣が産生する男性ホルモン(テストステロン)が中年期以降に低下し、性欲低下、発汗、ほてり、寝汗、疲労感、うつ状態等の症状を呈する状態です。加齢男性性腺機能低下(Late-Onset hypogonadism;LOH)症候群とも称されます。

【原因】
基本的には男性ホルモンの低下が原因ですが、それ以外にも体調の変化や外的なストレスが重なって発症すると考えられています。
【検査と診断】
血中遊離テストステロン値と、性欲低下、勃起不全、筋力低下、活力低下、抑うつ状態、(体脂肪の増加、骨密度の低下)などの症状から診断します。
【治療】
治療としては、男性ホルモン補充療法、漢方薬や向精神薬などの薬物療法、カウンセリングや自律訓練法などの心身療法をおこないます。

男性器の異常
ペニスから膿が出る

尿道口から膿が出るのは、外尿道口から侵入した病原菌が尿道の粘膜に感染して尿道炎を起こしているのが原因です。尿道炎は主に性行為によって起こり、クラミジアや淋菌が原因微生物であり性感染症に含まれます。

ペニスが赤い

亀頭あるいは包皮の感染による亀頭包皮炎が考えられます。黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などの細菌が包皮に感染することにより起こる病気です。細菌がたまりやすい包茎が要因になることもあれば性行為に伴って起こってくる場合もあります。

ペニスが腫れている

多くは感染に伴うペニスの炎症が考えられます(ペニスが赤い参照)。また真性包茎がたまたま剥けてしまいペニスが首をくくったような状態になることもあります(嵌頓包茎)。 さらに、陰部打撲等による血管損傷により、勃起が6時間以上も継続することもあります。持続勃起症といわれており、この場合は早急な治療が必要です。

ペニスにブツブツができた

ペニスにできるブツブツには、主に尖圭コンジローマという性行為感染症が考えられます。痛みや痒みともありませんが、除去治療しない限り治ることはありません。 ただこれとは別に、陰茎亀頭のいわゆるカリ首(冠状溝)の周囲やカリ首の裏の筋(包皮小帯)の横に1列から数列に並んでできる粒状のものは、病的なものではなく特に問題ないことが多いです。

陰嚢がはれた

陰嚢が腫れる場合、(1)睾丸(精巣)自体が腫れる場合と(2)まわりの組織が腫れる場合があります。まず(1)の疾患として睾丸(精巣)の腫瘍があります。青壮年期の男性に多くみられ、一般的には痛みを伴いません。次に②の疾患として陰嚢水腫や精巣上体炎などがあります。陰嚢水腫は痛みはありませんが、精巣上体炎では痛みに加え発熱等を伴っています。打撲に伴って腫れてきた場合は睾丸(精巣)の内出血や破裂による陰嚢内の血腫などが考えられます。

精巣(睾丸)が触れない

睾丸(精巣)が触れない場合に考えられる疾患として停留精巣があげられます。精巣はおなかの中で発生し、胎児の時期におなかの中からソケイ部(足のつけね)を経由して陰嚢内へ下降してきます。出生時の男児において精巣の下降が不完全で陰嚢内に触知しない状態を停留精巣といい、片側あるいは両側とも触れない場合があります。

精液に血が混じった

精のう・前立腺の炎症、局所の循環障害に加え、精子の通り道(精巣・精巣上体・精管・精のう・前立腺)の腫瘍、のう胞、結石などが挙げられます。

性感染症が心配
排尿時にいたむ

排尿時の痛みは、尿道炎もっとも見られる症状です。同時に尿道から膿みが認められれば淋菌性尿道炎が疑われます。逆に膿みがなければ、クラミジアや、または淋菌クラミジア以外の微生物による尿道炎が疑われます。尿道炎は性感染症です。また、性感染症以外でも、通常の膀胱炎、前立腺炎でも排尿時の痛みを認めます。

尿道から膿みがでる

淋菌性尿道炎では膿性の高い膿みを認めます。またやや透明に近い膿みの場合はクラミジア性尿道炎、および淋菌でもクラミジアでもない原因微生物の尿道炎が疑われます。尿道炎は性感染症です。同時に排尿時の痛みも認める場合が多いです。

ペニスにいぼができた

ペニスにカリフラワー様のいぼがあれば尖圭コンジローマが疑われます。尖圭コンジローマは性感染症です。その他、まれに陰茎に癌ができる事があります。

ペニスに潰瘍ができた

水疱のあとに浅い潰瘍ができれば、性器ヘルペスが疑われます。固い丘疹のあとに潰瘍と鼠径部リンパ節の腫れがあれば、梅毒による硬性下疳が疑われます。潰瘍の痛みが強ければ軟性下疳が疑われます。これらはいずれも性感染症です。また、性感染症以外にも、接触性皮膚炎などペニスに潰瘍を来す病気があります。

男性不妊症
不妊症とは

【不妊症とは】 生殖年齢の男女が妊娠を希望し,ある一定期間(1年間),避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊症といいます。

【男性不妊症の原因】
男性不妊症の原因は、主に造精機能障害(精子を作る機能の異常)、精路通過障害(精子の通り道の異常)、性機能障害(うまく射精に至らない)に分類されます。精子は精巣(睾丸)の中で作られ、精巣上体という細い管を通り抜ける間に運動能力を得て、受精を行うことのできる完全な精子となります。この過程に異常があると精子の数が少なくなったり、精子の動きが悪くなったり(精子運動率低下)、奇形率が多くなったりして、受精する力が低下します。残念ながら原因不明の造精機能障害が最も多いですが、病因が解明されているもののうち最も頻度が高いものとして「精索静脈瘤」があげられます。精索静脈瘤とは、精巣の静脈におなかから血液が逆流してこぶ状に膨れる病態で、男性では5-6人に1人の割合で存在し、その一部のかたが不妊症を呈することがわかっております。性機能障害には勃起障害(Erectile Dysfunction;ED)や射精障害があります。精路通過障害の原因としては、鼠径ヘルニアの手術後、精巣上体炎、外傷、逆行性射精、パイプカットの手術後などがあります。

【男性不妊症の検査】 
精液検査では精液量、精子濃度、運動率、運動の質、精子の形態、感染の有無などを検査します。精液は3-5日の禁欲期間(射精しない期間)の後に、用手法(マスターベーション)で採取します。男性の精液性状は日によって変動するため、数回の精液検査を行ったうえで診断することが一般的です。 精液検査以外にも、不妊症に関する病気の既往の有無、性生活の状況を確認し、外陰部の診察、精巣サイズの測定、精索静脈瘤の触診を行います。また、血液検査で性機能に関するホルモン値を測定します。そのほかにも染色体・遺伝子検査、精子の機能を調べる検査、精路の形態を調べるMRI、精巣生検、勃起能力を調べる検査などが病状によって行われます。

【男性不妊症の治療】
  男性不妊症の治療は、原因に応じて内科的治療(薬物療法)や外科的治療(手術)が行われます。性機能障害に対しては、薬物療法や人工授精(受精の場である卵管膨大部に十分な精子をとどけるため、子宮腔内に精子を注入する治療法)を行うことがあります。
軽度~中等度の精液検査値異常に対しては、生活習慣の指導や内服治療(ホルモン剤、漢方薬、ビタミン剤、血流改善薬など)を行います。また、脳の視床下部や下垂体の機能不全で起こる精巣機能不全症例(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)に対しては、定期的に患者さん自身に自己注射を行っていただく治療を行っていただくことがあります。精索静脈瘤がある場合は、手術(静脈瘤結紮術)を行うことで精液検査値異常が改善する可能性があります。軽度~中等度の精液検査値異常であれば、人工授精で妊娠することがあります。さまざまな方法を試みても精液中の精子を回収できない高度の精液検査値異常や無精子症の場合には、精巣内精子採取術(testicular sperm extraction;TESE)を行います。この方法で採取した精子は顕微授精法で卵子と受精させることになります。精路通過障害が原因である閉塞性無精子症で、精路再建術が困難または不成功であった場合は精巣精子採取術(simple-TESE)を行います。閉塞性無精子症では精巣内での精子形成が盛んなため、多くの場合は精子の採取が可能です。
非閉塞性無精子症の場合は、精巣内での精子形成が極度に障害されていることが多いため、手術用顕微鏡を用いて精子形成のある場所を綿密に探し、精子の採取を試みます。(顕微鏡下精巣精子採取術;micro-TESE)非閉塞性無精子症の場合は、この方法を用いても精子を採取できないことがあります。上記のような治療を行っても妊娠に至らない場合、ご夫婦の強い希望があれば非配偶者(夫以外の提供者)の精子を用いた人工授精治療を考慮することがあります。

執筆協力者:県立尼崎総合医療センター 山田裕二
神戸大学 福田輝雄、中野雄造
北播磨総合医療センター 田中一志