こんな症状があったら

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泌尿器科の症状と疾患


男性不妊症

男性不妊症とは?

【不妊症とは】
生殖年齢の男女が妊娠を希望し,ある一定期間(1年間),避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊症といいます。

【男性不妊症の原因】
男性不妊症の原因は、主に造精機能障害(精子を作る機能の異常)、精路通過障害(精子の通り道の異常)、性機能障害(うまく射精に至らない)に分類されます。精子は精巣(睾丸)の中で作られ、精巣上体という細い管を通り抜ける間に運動能力を得て、受精を行うことのできる完全な精子となります。この過程に異常があると精子の数が少なくなったり、精子の動きが悪くなったり(精子運動率低下)、奇形率が多くなったりして、受精する力が低下します。残念ながら原因不明の造精機能障害が最も多いですが、病因が解明されているもののうち最も頻度が高いものとして「精索静脈瘤」があげられます。精索静脈瘤とは、精巣の静脈におなかから血液が逆流してこぶ状に膨れる病態で、男性では5-6人に1人の割合で存在し、その一部のかたが不妊症を呈することがわかっております。性機能障害には勃起障害(Erectile Dysfunction;ED)や射精障害があります。精路通過障害の原因としては、鼠径ヘルニアの手術後、精巣上体炎、外傷、逆行性射精、パイプカットの手術後などがあります。

【男性不妊症の検査】 
精液検査では精液量、精子濃度、運動率、運動の質、精子の形態、感染の有無などを検査します。精液は3-5日の禁欲期間(射精しない期間)の後に、用手法(マスターベーション)で採取します。男性の精液性状は日によって変動するため、数回の精液検査を行ったうえで診断することが一般的です。
精液検査以外にも、不妊症に関する病気の既往の有無、性生活の状況を確認し、外陰部の診察、精巣サイズの測定、精索静脈瘤の触診を行います。また、血液検査で性機能に関するホルモン値を測定します。そのほかにも染色体・遺伝子検査、精子の機能を調べる検査、精路の形態を調べるMRI、精巣生検、勃起能力を調べる検査などが病状によって行われます。 【男性不妊症の治療】 
男性不妊症の治療は、原因に応じて内科的治療(薬物療法)や外科的治療(手術)が行われます。性機能障害に対しては、薬物療法や人工授精(受精の場である卵管膨大部に十分な精子をとどけるため、子宮腔内に精子を注入する治療法)を行うことがあります。
軽度~中等度の精液検査値異常に対しては、生活習慣の指導や内服治療(ホルモン剤、漢方薬、ビタミン剤、血流改善薬など)を行います。また、脳の視床下部や下垂体の機能不全で起こる精巣機能不全症例(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)に対しては、定期的に患者さん自身に自己注射を行っていただく治療を行っていただくことがあります。精索静脈瘤がある場合は、手術(静脈瘤結紮術)を行うことで精液検査値異常が改善する可能性があります。軽度~中等度の精液検査値異常であれば、人工授精で妊娠することがあります。さまざまな方法を試みても精液中の精子を回収できない高度の精液検査値異常や無精子症の場合には、精巣内精子採取術(testicular sperm extraction;TESE)を行います。この方法で採取した精子は顕微授精法で卵子と受精させることになります。精路通過障害が原因である閉塞性無精子症で、精路再建術が困難または不成功であった場合は精巣精子採取術(simple-TESE)を行います。閉塞性無精子症では精巣内での精子形成が盛んなため、多くの場合は精子の採取が可能です。
非閉塞性無精子症の場合は、精巣内での精子形成が極度に障害されていることが多いため、手術用顕微鏡を用いて精子形成のある場所を綿密に探し、精子の採取を試みます。(顕微鏡下精巣精子採取術;micro-TESE)非閉塞性無精子症の場合は、この方法を用いても精子を採取できないことがあります。上記のような治療を行っても妊娠に至らない場合、ご夫婦の強い希望があれば非配偶者(夫以外の提供者)の精子を用いた人工授精治療を考慮することがあります。
 
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