検診で異常を指摘された
尿が赤くなった
尿検査で血が混じっているといわれた
尿検査でタンパクが出ているといわれた
「小児の血尿とタンパク尿」
【血尿】
血尿をきっかけとして膀胱や腎臓の癌が 発見されることが中高齢者ではよくありますが、小児ではまれです。血尿の原因としては尿路の細菌感染がありえますので、詳しい尿検査がまず必要です。感染がない場合、小児期の血尿の原因としては泌尿器科的なもの(腎臓で作られた尿が体外に運ばれていく途中で血液が混ざること)よりも、内科
的なもの(腎臓で作られる尿そのものに 血液 がまざっていること)であることの方が多いです。
泌尿器科的な疾患として、 腎や膀胱の先天異常(水腎症や膀胱尿管逆流症)の発生頻度は比較的高く、それが原因となって感染を合併することがあります。成人のように悪性腫瘍や結石が尿路に発生することはまれですが皆無ではありません。ウイルムス腫瘍や横紋筋肉腫など尿路に発生する小児がんも存在します。これらの病気は腹部超音波
検査などによりスクリーニングが可能です。また、尿中のカルシウムの濃度が高い人(高カルシウム尿症)に顕微鏡的血尿が認められることがあり、尿路結石のリスクと関連づけられています。
内科的な疾患としては、IgA 腎症などの糸球体腎炎(いわゆる腎臓病)が重要です。
これらは将来腎臓の機能をおびやかす病気ですが、経過中に血尿が増悪したりタンパク尿の出現がみられるので、定期的な尿検査が早期発見には重要です。
【タンパク尿】
血尿がなくタンパク尿だけが認められた場合には内科的にはネフローゼ症候群などの腎臓病がうたがわれますが、尿路の先天異常によってどちらかまたは両方の腎臓に障害がおこっている場合がありますので、やはり超音波などによる精査が必要です。
それらが否定されれば、病的意義のない血尿やタンパク尿と考えます。