こんな症状があったら

こんな症状があったら

泌尿器科の症状と疾患


尿失禁

突然尿意をもよおし、トイレが間に合わなくて漏れてしまう

昼間におしっこを何回もちびる

尿の回数が多い

尿の回数が少ない

排尿に時間がかかる


「排尿習慣の異常と昼間の尿失禁」

 昼間におもらししているこどもの中には、身体のつくりそのものに異常のあるお子さんもおられますが、実際はきわめてまれです。大部分のお子さんは異常な排尿習慣を身につけて育ってしまったために、排尿の各要素が協調してはたらくことができなくなっているのです。幸いそのようなお子さんはちゃんとしたトレーニングをすることで、正常なパタ ーンを身につけることができます。

【異常な排尿とは?】
 排尿するときに尿道を中途半端にしか開いておらず、絶えず排尿を我慢しながら尿を出していると、膀胱の筋肉が過度の力をかけないと排尿できないので、膀胱の緊張を招きます。これは尿もれなどの症状の原因となります。膀胱の発育が遅れてひっきりなしに排尿したり、ぎゃくに全ての尿が排尿できず(残尿)、膀胱内での感染(無熱性)を引き起こす こともあります。ひどい場合には、膀胱内の圧の上昇から腎臓への尿の逆流や感染(有熱性)を引き起こす事すらあります。

【どのようして子供はそういう異常なパターンを身につけるのでしょうか?】
 異常な排尿習慣を形成する経緯はよくわからない場合も多いですが、排尿を意識的にコントロールするようになる発達過程の遅れと考えられます。
 重要な要素として性格があげられ、いそがしがりやさんや多動児の場合が多いです。排尿をきちんとするためには、落ち着いてリラックスすることがなによりも大切なのですが、そのような子供は一刻も早く遊びに戻りたいあまり、きちんとした排尿の動作をさぼりがちです。
 さらに社会や家庭内での精神的なプレッシャーも正常な排尿発育の大きな敵です。子供達が家庭内でのいざこざや、親の離婚、アルコール中毒などに過敏に反応して排尿異常の症状が悪化することがあるのは有名です。いじめや、転校もそのきっかけになることがありますが、明らかな原因なしにそうなった子供も多いです。

【感染と便秘】
 感染と便秘は、このような状態に合併しやすく、症状を悪化させる重要な要素です。異常な排尿習慣があると膀胱内にばい菌が入りやすくなり(尿路感染、膀胱炎)、その刺激がまた異常な排尿習慣を助長します。また、このようなこどもでは便秘を合併していることが珍しくなく、その場合には宿便による慢性的な刺激が、排尿の神経に悪影響を及ぼした り、便失禁の原因になります。

【診断方法】
 専門の医師にくわしくお話をきかせてください。現在の排尿状態に至った経緯と、排尿パターンを聞かせていただければ、それだけで病状を把握できる場合がほとんどで、最近では自己記入したアンケートもあります。
1)検尿と超音波検査: 痛みも危険性もなしにでき、多くの情報が得られる検査です。検尿で感染の有無がわかります。超音波検査により、まれな先天異常の有無から、膀胱壁の状態、残尿の有無まで、多くの情報を得ることができます。
2)排尿日誌:2、3日間にわたり全ての排尿の量と時間を紙に記録してもらいます。これにより本人や親御さんも意識していないような排尿の異常がはっきりします。
3)おなかのレントゲン写真:便のたまり具合や二分脊椎という異常の有無を把握します。
4)尿流測定: 上手に排尿ができているかどうかを客観的に記録します。
5)膀胱内圧測定と膀胱尿道造影: 最も正確な精密検査です。膀胱内圧測定は細い管を尿道から膀胱に通し、膀胱に水を注入していって、膀胱の大きさ、内部の圧(緊張)、排尿するときの圧、括約筋の緊張をみる検査です。水の代わりに造影剤を入れてレントゲン撮影をするのが膀胱尿道造影で、膀胱の形、尿道の形、排尿時の尿道の開き具合を同時 に観察できます。この二つの検査は同時に行えば、尿道に一回だけ管を通すだけで全ての検査を終えることができます。ただ実際には、ほとんどのお子さんはこのような精密検査を行わなくても適切な対策により治癒することが可能です。

【治療方法】
 1)行動療法(定時排尿)
  排尿中にリラックスして膀胱に負荷を与えない習慣を身につけることを目的として、2時間おきに時間を決めて排尿するです。
 2)膀胱の緊張をとる薬物療法
  膀胱の緊張をとる薬副作用として、口の乾き、便秘などがあります。
 3)感染と便秘のコントロール
  慢性の感染状態は、抗生物質を少な目の量で服用することで治療と予防が可能です。便秘がある場合には、下剤や浣腸を積極的に使用して宿便のたまった状態を是正します。
 
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