こんな症状があったら

こんな症状があったら

泌尿器科の症状と疾患


膀胱癌
膀胱は下腹部にある臓器で、腎臓から流れてくる尿を貯め、充満すれば収縮し尿を排出する働きがあります。膀胱の壁は三層(粘膜、粘膜下層、筋層)から構成されており、この外側は脂肪組織に覆われています。膀胱癌とは、この粘膜上皮から発生する癌であり、進行するにつれ粘膜、筋層および周囲脂肪組織の順に浸潤していきます。一般的に膀胱癌は高齢の男性に多くみられる病気で、(男性が女性の約3倍と言われています)喫煙・特定の薬物や色素などへの接触も危険因子とされています。

症状

痛みなどの症状を伴わない血尿で発見されることがしばしばで、排尿困難や頻尿を認める場合もあります。

診断

尿検査や超音波検査に加え、膀胱の内視鏡(膀胱鏡)を行って診断します。その他、癌の進行程度(病期)を調べる検査として、CT、MRIおよび骨シンチなどがあります。

治療方法

【手術】
手術には、内視鏡手術(経尿道的膀胱腫瘍切除術)と膀胱全摘除術(開腹、腹腔鏡、ロボット支援手術)とがあります。まず、癌であるかどうか、腫瘍の深さをみるため内視鏡手術を行います。表在性癌(浅い癌)であれば、内視鏡手術のみで治療可能となりますが、浸潤癌(根が深い癌)では、さらに追加の治療(膀胱全摘除術、抗癌剤治療および放射線治療)が必要となります。手術は、男性では膀胱と前立腺とを、女性では膀胱と子宮、卵巣、膣との一部分をあわせて切除します。また、膀胱を切除してしまうと尿の通り道がなくなるため、新たな道を作成することが必要となります(尿路変向術といいます)。

【尿路変向術】
(1)尿管皮膚瘻左右の尿管をお腹の前面に導き固定し、出てくる尿を採尿袋で受けます。
(2)回腸導管小腸を遊離して、これに両側の尿管をつなぎ、小腸の一方端をお腹に誘導する方法であり、これも採尿袋が必要です。 
(3)新膀胱小腸で膀胱に見立てた袋(新膀胱)を作り、これに両側の尿管および尿道とつなげる術式です。もっとも自然な尿の流れとなり、自力で排尿が可能でお腹に採尿袋をつける必要がありません。ただ、尿が漏れることや、排尿がうまくできなかったりすることもあります。
また、手術前に白金製剤を用いた抗癌剤治療をしたり、再発リスクの高い場合は術後治療として抗癌剤治療や免疫チェックポイント阻害薬による免疫治療を追加することもあります。

【薬物治療】
診断時に転移のある場合や手術が困難な場合は、抗癌剤を用いた薬物治療を行います。また1次治療である抗癌剤治療後には2次治療として免疫チェックポイント阻害薬を用いた免疫治療、その後の再発には3次治療としてエンホルツマブ ベドチンという抗悪性腫瘍剤による治療を行います。

 
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